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泉美木蘭
2019.2.9 15:24日々の出来事

要介護1の話

雪で飛行機130便以上が欠航になったみたいだけど、
「大雪注意報は解除」とのニュースが。
まだこのあとも降るのだろうけど、大雪ではないようだし、
明日は大丈夫でしょう。
ただ陽が差さない路面は凍ったりして危ないから、
みんな足元に気を付けて道場へ来て下さいよ~。
とか言ってる私が、もっとも滑ってコケるタイプです。

田舎の祖母の痴呆がどんどん激しくなってきた。
もう90代だから仕方ないんだけど。
ただ、身のまわりの支度もお化粧もお洒落もばっちり自分で
こなしてから他人様と応対できるので、特に要介護はつかず、
ちょうど狭間にあって母が苦労していた。
最近、「要介護1」になったので、週に何回かデイサービス
通ったり宿泊の支援が受けられるようになった。

でも自治体から支給される紙オムツじゃ全然枚数が足りないし、
デイサービスも無料ではないから、かなり厳しいということで、
リクエストされたものはどんどん買って送ったりするんだけど、
それより、アクティブすぎる祖母の「脱走」がたびたび心配だ。

80代でグアムへ実弾射撃しに行って、バナナボートにまたがって
海の上を爆走していたようなおばあちゃんだから、
「徘徊」なんてレベルじゃなくてですね。
「止まったら死ぬ」のマグロのように、自転車で駅2つ向こう、
15km先の「イオン」や「
しまむら」までガンガン行っちゃうの。
で、道中、ヘンゼルとグレーテルのように持ち物をぼとぼと落とし、
どこから来たのかがわからなくなって、やがて近隣のお店の方が
声をかけて保護してくださり、警察から電話があるんだけど…。
その間、デイサービスの方も一緒になって探して下さるので、
本当に介護職の方はありがたい存在だと思う。

でももしこんな雪の日に脱走してしまって、用水路なんかに落ちたら
と思うと怖い。89歳になる親戚のおばちゃん(祖母の妹)が、
「門を鎖でぐるぐる巻きにして南京錠かけといたらどうやろ?
ああ、でもあの人なら乗り越えて出てくわなあ……」
と真剣な顔で言う。ブラックジョークすぎて笑ってしまった。
そのおばちゃんも、アルツハイマーでよく迷子になるのだ。

どうしても手が足りない時は、そのアルツハイマーのおばちゃん
が助けに来てくれたりもする。
もう「老々介護」どころじゃない。
要介護の人が要介護の人を介護しているような状態だ。
私、東京に住んでたらダメかな…という気分になってくる。

母は私の母なので、だいたい大変なストレス状態に陥ると、逆に
ネタっぽく話して笑いにするというところがあり、こういう話は
「またおばあちゃんお縄やで!」の一言からはじまる。
母はこのごろなんだか話がうまくなってきて、まるで「介護漫談」
みたいだ。私がウケるとどんどん興に乗って独壇場で語りまくる
という感じ。
面白いんだけど、私は、笑わせてもらうより、自分が笑わせる側に
立ってる時の方が100倍楽しいので、たまには逆転したい。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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